大判例

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福岡地方裁判所 昭和46年(ワ)30号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕ところで、被告らは、原告が左股関節不全強直の身体障害者で左大腿骨が通常人より細く、ために容易に骨折もし、治療も困難で長期間を要することとなつたと主張するが、<証拠>によれば、本件事故車は時速三〇粁から三五粁前後の速度で原告の左足に衝突したと認められるから、原告の左足が健足であつたとしても骨折したであろうと推認され、原告の左足が健足であつたならば骨折しなかつたであろうと認めるに足る証拠はない。

しかしながら、証人伊藤信男の証言によれば、原告の左膝関節が拘縮した原因は左大腿骨々折の癒合をはかるため左膝関節を長期間固定したことに直接の原因があるが、原告の場合、左足が左股関節脱臼により健足にくらべて細く、癒合が遅れたため、通常人より長期間固定されたことで一層左膝関節の機能障害が大きく、また、機能回復のための訓練も積極的に行いえなかつたことにも原因があると認められ、<証拠判断・略>

してみると、原告の本件後遺傷害に対し本件事故が主因をなしていることは否定できないが、他面、原告の左股関節の病的脱臼により骨の委縮があつたことも原因の一つとなつているともいえるのであつて、このように事故と事故前の体質の双方が寄与して後遺障害が発生したと認められる場合は、損害の公平な分担という見地から事故が後遺障害の発生に寄与している割合に基づいて相当因果関係の存在を認め、その割合によつて加害者に損害賠償責任を負わせるのが相当である。

ところで、原告の本件後遺障害の場合、本件事故と原告の体質との寄与の割合を考えるに、証人岩永安弘及び同伊藤信男の各証言を総合すれば、一般に、左大腿骨々折部を癒合させるため左膝関節を固定した場合、左膝関節に運動障害の発生することもあれば発生しないこともあり、右運動障害が発生した場合にも、その後の機能回復訓練により回復することもあれば、回復しないこともあると認められ、右事実と前認定の原告の体質を考え合せると、原告の本件後遺障害の発生に対し、本件事故が三、原告の体質が一の割合で寄与していると判断するのが相当である。 (井野三郎)

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